根の治療(根管治療について)

いわゆる「根の治療」「歯の神経の治療」について

虫歯が深くなって痛みが出てきた。歯医者さんにかかったらば「神経の治療が必要です」と言われた。治療回数が意外にかかりそうで本当に治療が必要なのか迷っている。
すでに「根の治療」をはじめたが痛みがなかなか取れない。いつになったら噛めるようになるのだろうか・・・
虫歯の深い歯を見てもらったらば「抜歯」と言われてしまった。でも諦めきれない。なんとか「根の治療」で救うことができないか・・・
このような疑問や悩みを抱えていらっしゃる患者さんは巷に意外と多いようです。
当院の院長の松下寛は東北大学歯学部の保存科(根の治療や歯周病の治療を行う診療科)に6年ほど在籍し、その後日本歯内療法学会(根の治療の専門学会)で専門医の資格を取得して現在に至っています。
専門的な知識と技術を兼ね備えた形で診療にあたっています。「根の治療」「歯の神経の治療」でご相談したい方、治療をご希望される方はお気軽にご来院ください。

どんな治療方法?

「根の治療」「歯の神経の治療」は専門的には「根管治療」「歯内療法」といいます。虫歯が大きくなって虫歯の細菌が歯の神経(「歯髄」といいます)に達してしまうと、「ひどくしみる」「熱いものがしみる」「噛んでも痛い」「何もしなくても痛い」「根の先が腫れてくる」といった症状がでてきます。
そのまま放置しても治ることはありません。このような場合には「根の治療」を行います。痛みをとると同時に長期にきちんと噛めるように処置を行います。

治療の基本は以下のようになります

  1. レントゲンや診査でどの歯が原因か、本当に根の治療が必要か、治療したらばきちんと治るのかを診断します
  2. 古い詰め物・被せ物や虫歯を除去します
  3. 歯の神経の入り口を見つけ、入り口の形を整えます
  4. 歯の神経の道筋を専用の器具でお掃除します(図1)
  5. お掃除が終わり痛みが取れたら根の中をゴム系の材料で封鎖します(図2)
  6. この後虫歯で無くなった部分の土台を作り、被せ物をします(図3)

図1

図2

図3

図1、2は抜いた歯でのシミュレーション
図3は実際の治療例です

治療は何回くらいかかるの?

皆さんが想像しているよりも回数はかかります。前歯で2~3回、大臼歯という奥歯では3~4回治療回数がかかります。痛みが長引いている例などではもっと回数がかかります。
さらに根管治療をした歯は、歯が欠けないように被せる必要性があります。この回数が平均であと3回程度。と、すると根の治療を始めた歯は被せる所までが治療の一区切りとすれば、平均で前歯で5~6回、奥歯で7~8回治療回数がかかることになります。
予約間隔が一週間に一回とすれば、二ヶ月近くかかります。根の治療をする歯が複数本ある場合には、その本数分回数がかかります。歯科の治療が他の科に比べて回数が長くかかるのは根の治療も一因なのです。

治療時間と熟練が必要な治療方法

根の治療は細い歯の中の神経の道筋を探し出し、そこを綺麗にお掃除し、さらに緊密に封鎖するという作業です。作業の長さや太さは数分の1ミリ単位の精度が求められます。また根の中に唾液や細菌が入り込まないように細心の注意が必要です。治療に要する全体の時間は大臼歯では延べ2時間ほどかかることもあります。熟練を要する治療のひとつです。
ただし残念ながら日本の健康保険制度では、治療費が諸外国の5分の1程度と非常に安く設定されています。
治療自体が本来は精密度さが要求されるのに、認められた治療費があまりに安い。このような背景のため、きちんとした根管治療ができている歯の比率は現実には低いというのが悲しい実態です。

すべての場合に治療が成功するわけではありません

~「どんな歯でも残す」は明らかな間違い~

一部のマスコミさんの記事で「どんな歯でも残す努力をするのがいい歯医者」という意味の内容を目にしたことがあります。明らかな間違いです。
手術しなければいけない盲腸炎を手をつけないで様子だけ見ている医者がいたらば、それはどうみてもヤブです。
歯も同じ。残せない理由があればきちんと説明し、抜歯を勧めるのが正しいやり方です。
根の治療の専門医でも万能ではありません。どう頑張っても残すことが無理な場合には正直に状況をご説明し、他の手段を選んでいただくこともしばしばあります。

以下のような場合には手をつけても治らない確率が高いので、事前に治療をお断りするか、あるいは手をつけても治らない場合があることを了解の上で着手させていただきます。

  1. 何回も根の治療を繰り返している歯
  2. 段差・目詰まりなどで根の先までお掃除ができない歯
  3. 虫歯が深くて歯茎の下に及んでいる歯
  4. 唾液が入り込んでしまう奥歯
  5. 残っている根の厚みが虫歯で薄くなってしまった歯
  6. 何回も腫れや痛みが続いた歯
  7. 根にヒビが入っている歯(クラックと言います)、割れている歯
  8. 歯周病が進んでいる歯

治療や保存が可能か、成功率はどの程度かは、詳しい診査をした上でのご相談となります。

 

時には特殊な方法で歯を救うことも

~外科処置という奥の手~

通常の根の治療が難しい場合でも、条件が整えば外科的な処置でその歯を救うことができる場合があります。根の先(根尖 こんせんと読みます)にお掃除が難しいケースで根が割れる心配がない場合には、以下の二つの方法のいずれかで歯を救うことが可能です。

  1. 歯根端切除(「しこんたんせつじょ」と読みます)
    歯の根の外側の歯茎に切開をして、炎症のある根の先の部分を切除する処置です。切開した部分は縫い合わせればきちんとふさがります。
  2. 意図的再植(「いとてきさいしょく」と読みます)
    歯を一旦抜いてから、炎症のある根の先の部分を切除して、歯を再度口の中に戻して接着で固定する処置です。一ヶ月弱で歯はもとどおり骨にくっつくので、その後はかぶせ直しができます。(図4~7に実例を提示します)

図4

左下7番
他の歯科医院で抜歯が必要と言われた歯
矢印の部分が通常の治療が難しい根の先の病巣

図5

患者さんと相談し、再植をおこなう
一旦歯を抜いたところ
根の先端の部分の病巣は丁寧に掻き出した

図6

根の先端を削り、穴を掘った上で消毒のお薬を詰めた(矢印)

図7

処置をした歯を口の中に戻し固定した
根の先の消毒剤が見える(矢印)