歯周病治療

歯周病の治療とメンテナンス

歯を失う原因の約30%はむし歯による抜歯です。フッ素入り歯磨き剤の普及で、今では子どものむし歯はずい分減ってきました。
では歯周病による抜歯の比率は?実は約56%です。抜歯の原因として依然として高率です。成人の80%以上は何らかのステージの歯周病といわれています。
歯周病(とむし歯)のメンテナンスや治療は毎日の歯磨きが重要なポイントですが、それだけでは無理です。ここでは具体的な方法について説明します。

歯周病について

歯周病とは、歯の歯肉に近い部分についた歯垢(プラーク)や歯石の中にいる細菌によって引き起こされる病気です。
歯と歯肉の境目についた歯垢や歯石から、歯の根にそって歯周病菌が入り込み、歯を支えているまわりの組織をじわじわと壊していき、最悪の場合、歯が抜けてしまいます。

日本人の成人の80%がかかっているといわれる歯周病。進行した歯周病は口臭の原因になるばかりでなく、出血や歯のグラグラの原因になります。そして最後は抜歯へと至る怖い病気です。特に歯石の表面にはバイ菌がべっとり。まずは歯石の除去から始めましょう。
環境が整えば、失ってしまった骨を再生させることも可能です。ぜひご相談ください。

歯周病の進行過程

正常な場合

歯周ポケットは1~2㎜

歯周炎

歯周ポケットは2~3㎜

軽度歯周病

歯周ポケットは3~4㎜

中度歯周病

歯周ポケットは5~6㎜

重度歯周病

歯周ポケットは6㎜以上

歯周病末期

自然に抜けてしまいます

危険信号は?

  • 毎日の歯磨きで出血する
  • 歯肉が赤く腫れている
  • 歯肉が何となくゆるんでいる感じがしたりする
  • 口臭が続いていて気になる
  • 何となくどこか、痛い・かゆい・不快だと感じる
  • 歯がぐらつく
  • 歯が伸びてきた
  • 歯の位置が移動してきた

こんな症状のあるかたは要注意です。

歯周病は最初、痛みを伴わずに進行していきます

ほとんどの人は、歯肉から血が出る。腫れた。
といった自覚症状を感じてからはじめて来院されますが、このような症状があるときは、かなり進行した状態です。
歯周病は歯磨きでは防げません。
毎日の歯磨きをしていれば歯垢の除去はある程度可能ですが、歯石の除去は歯ブラシではできません。
歯石は一度できると歯の周りに軽石のような性状で強固に歯に付着します。

歯周病の治療と予防

プラークコントロール 歯垢を除去する

プラークとは、歯にへばりついた歯垢のことです。歯垢は、細菌のかたまりで、この細菌が歯肉や顎の骨などの歯周組織に炎症を起こします。
プラークコントロールは、プラークを定期的に除去することをいいます。
正しい歯みがきをすることで、プラークは除去できます。歯周病の最大の予防法・治療法は、歯みがきです。当院では、歯周治療の一環として、歯みがき指導を行なってまいります。
正しい歯みがきの方法、歯ブラシの選択、歯みがき剤の正しい使い方などをご説明いたします。

SRP(スケーリング・ルートプレニング)

見えない部分は歯科医院で

歯周病の予防に毎日の歯みがきによるプラークコントロールは欠かせません。
見える部分(歯肉より上の部分)に関しては、日ごろから歯みがきをしていただく必要があります。
一方、見えない部分(歯肉より下の部分)は、われわれ歯科医院の仕事です。歯石は、歯垢がミネラル分を含み硬くなったものです。特に、歯肉の下についている場合も多く、歯ブラシでは取れません。
歯科医院では、歯についた歯石をスケーラーという専用の器具を用いて除去します。これをスケーリングと言います。
また、歯垢はザラザラした面につきやすいので、歯の根の部分を滑らかな形状にしていきます。これをルートプレーニングと言います。歯周病の治療には、患者さんとわれわれが二人三脚で努力することが必要なのです。

歯周病が進んでしまった方のために

歯周外科とは

歯周病が進み、骨吸収が進んでしまった場合、一般的な器具では歯石がとれません。その場合、麻酔をしたうえで、炎症を起こしている歯肉をメスで切り取り、歯の根っこについた歯石をとります。

根気良い治療が必要

歯周病が骨にまで及んでしまう主な原因は、歯垢、歯石です。原因を除去し、適切な処置を行なうことで、かなり進んだ病状も回復する場合があります。指示を守っていただき、根気よく治療を続けることが必要です。

評価

歯周病治療は確認が必要

歯周病治療の流れの中で、大きなポイントとなるのが評価です。評価とは、治療の効果を判定することです。基本的には、最初の診査と同様のことを行い、問題点が改善されたかを診ていきます。

歯周病は全身に影響を及ぼします

歯周病は歯を失う大きな原因です。歯は食べ物がはじめて出会う「消化器」であるだけに歯周病で歯を失うと、からだ全体に大きな影響が及ぶ可能性があります。そして、歯周病が全身のさまざまな病気に関わっていることが分かってきました。

歯周病は全身に影響を及ぼします

歯周病は歯を失う大きな原因です。歯は食べ物がはじめて出会う「消化器」であるだけに歯周病で歯を失うと、からだ全体に大きな影響が及ぶ可能性があります。そして今、歯周病が全身のさまざまな病気に関わっていることが分かってきました。

歯周病対策で健康力アップ

歯の病気とからだの病気

脳…認知症

かむことが脳を活性化することがわかってきています。かむことによる刺激で学習能力に深く関わる伝達物質が増えます。

肺…肺炎

“誤嚥性肺炎”とは、食べ物や唾液が誤って肺に流れ込むことで、口の中の細菌によっておこる肺炎をいいます。高齢者、寝たきりの人や、脳卒中の後遺症などで飲み込む力が衰えている人に多く発生しています。

心臓…狭心症・心筋梗塞

歯周病菌が動脈硬化をおこしている血管に付着すると、血管を狭める作用を促進すると考えられています。

すい臓…糖尿病

歯周病は糖尿病を悪化させます。インスリンの活性を干渉し、血糖値のコントロールが不十分となり糖尿病を悪化させます。

骨…骨粗しょう症

骨粗しょう症とは、骨の密度が減ってスカスカになり、骨折しやすくなる病気。骨粗しょう症の人が歯周病になると、歯を支える骨が急速にやせてしまいます。

おなか…肥満・メタボリックシンドローム

かむことが肥満を防ぐメカニズムもわかってきています。“一口30回かむ”ことは肥満予防法として、厚生労働省でも取り上げられています。

子宮…早産・低体重児出産

妊婦さんが歯周病になると、おなかの赤ちゃんが小さく生まれたり、早産になるリスクが高まることが知られています。

セルフケアの重要性について

プラークのたまりやすい場所

プラークは以下の場所にたまりやすくなっています。

  1. 歯と歯肉の境目(歯頚部)
  2. 歯と歯の間(隣接面)
  3. 奥歯の溝(裂溝部)

この3つの部分はプラークがたまりやすいので、もっともむし歯や歯周病になりやすい場所です。ですから、歯みがきをするときに一番ていねいにみがいたほうがいい場所です。

プラーク

歯みがきのマスター(セルフケア)こそが治療や長持ちの基本

歯ブラシ

歯周病(とむし歯)では、きちんと歯磨きをマスター(これがセルフケアの基本)してプラークをきちんと取ることが、治療とメンテナンスの大きな要となります。

歯ブラシ

きちんと歯ブラシがマスターできる人は歯周病も改善します。歯ブラシをさぼる人は治りも悪いし、再発率も高いです。

歯と歯肉の境目に歯ブラシの毛先を向けてプラークをかき出しましょう

歯ブラシ

歯の外側や奥歯の内側をみがくときは歯ブラシを鉛筆をもつように軽く握ります。そして毛先を歯と歯茎の境目に軽くあてます。歯ブラシを横に小刻みに動かしてプラークを書き出してください。お部屋の隅の汚れを小さな箒でかき出すのと同じ要領です。

歯ブラシ

ごしごし力をいれて「磨いて」はいけません。境目の汚れは落ちないだけでなく、逆に歯の付け根が磨り減ります。

デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシを使いましょう

フロス

歯と歯の間(隣接面)はプラークがたまり易いですが、歯ブラシがなかなか入りにくい場所です。油断すると、ここから歯周病やむし歯が発生・再発します。デンタルフロスや歯間ブラシを歯と歯のすきまの大きさにあわせて使いましょう。

  1. 歯と歯の間が歯肉で埋まっている場所はデンタルフロスです。
  2. 歯周病で歯肉がさがってしまい、歯と歯の間があいている場所は歯間ブラシです。

★使い方は自己流では駄目です。歯科医院で指導を受けてください!!

定期的なケア、メンテナンスの薦め

毎日歯をきちんと磨いていても、場所によってはどうしてもプラークが残ってしまうところがあります。また時間がたつとそこに歯石が次第に再沈着してきます。これらの再度たまってきたプラークや歯石は長期に放置しておくと、歯周病(やむし歯)の再発の原因となります。

歯科医院で定期的にこれらの再度たまったプラークや歯石をお掃除することが、もうひとつの大事な再発予防策です(いわゆるメンテナンス)。

当院では、治療が終了した患者さんには、定期的なご来院とメンテナンスをお薦めしています。頻度は概ね2~3ヶ月に一回です。(状態によります)
メンテナンスでは、歯科衛生士が患者さんの口腔内をチェックし、主に歯石やプラークの汚れを除去します。

むし歯、かみ合わせ、詰め物・被せ物・義歯、歯周ポケットなどもチェックします。必要な場合には歯科医師と連携し、経過観察もしくは治療を行います。
磨き残しがあるようでしたら、セルフケアの方法を再度ご指導します。